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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第19章 気になるひと

“ 顔…っ 近い! ”
ミレイは椅子を引いて立ち上がりそうになった。
しかし──背もたれに置かれた手がそれを防ぐ。
困惑した表情の彼女に、スミヤは紳士的な笑みを浮かべた。
「…ナツくん」
「は、はい!」
ミレイに目を向けたままで、ナツの名を呼ぶ。
それだけでナツは飛び上がりそうなほどに怯えていた。
「喉が渇いたんだ。申し訳ないんだけれど…飲み物を調達してきてもらえないかい?」
「…飲み物っすか…!? お茶ですか?それともっ珈琲とかが…」
「君にまかせようかな」
スミヤは依然として、ミレイから視線をそらさない。
「僕好みの飲み物を、期待してるよ」
「…じ、じゃあ…!しっかり悩んできます…!!」
「──…うん、しっかりね」
ナツはこの時 覚悟した。
スミヤの好みをちゃんと選ばないと、また押し倒されるかもしれない。
「行ってきます!」
一目散に食堂から出ていった彼は、自販機の前で長々と悩み続けるのだろう──。

