この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第25章 書庫

「お願い…──」
「……」
「カルロさん…!!」
ミレイの唇がつむぐ言葉。
精一杯の切願を、カルロはどうして跳ね除ける事ができようか。
“ 俺に、どうしろと… ”
どうすればいいかわからないのは、カルロだって同じなのだ。
「あんた、こんな我が儘な女だったのか」
「…ッ…そう、ですよ」
「我が儘な女は、面倒臭い……っ」
面倒な女は大嫌いだった。
「あんたがこの家に来るまで、俺はラクに生きてきたんだ…!!」
「ごめんなさい…」
「…俺はとっくにこの生き方に順応していた。何にも興味を持たずにいた。こんなに苛つく事も…なかったのに…」
「…本当…に…ッ─ごめんなさい…!!」
カルロは彼女の両腕を掴んで、責めるような口調で押さえ付けた。
何度も何度も、謝罪を呟くミレイを──
堪えられないという表情で、真正面から見下ろした。
“ もう、誤魔化せないのか……!? ”
「──…ミレイ」
「…っ…はい」
「俺は……あんたを殺してやりたい」
その衝動と…噛み付くキスは、愛の証──。
「だが今は…──」
「…ン…っ」
「殺されないようにっ…願っておきなよ…──」
カルロは彼女のブラウスを、引きちぎらんばかりの勢いで脱がせにかかる。
“ 俺はとっくに狂っている ”
だが──せめて、今夜だけでも
この女を、ただ《 愛する 》
そのための時間を俺に与えろ…。
カルロの中に信仰なんてありはしない。
そんな彼は生まれて初めて、神に祈るという事をしたのだった。

