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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第27章 本気の愛

ミレイは本当の彼に向き合う前に、すでに──彼に恋をしていた。
彼と過ごした時間だって、ほんの少しだ。
“ そんなわたしだったから…… ”
ああ、そうか
…ミレイは静かに納得して、穏やかに微笑んだ。
“ だから怖いんだ ”
向き合った時間が短すぎて
好きになった理由が単純すぎて
だから、彼と離れるのがこんなに怖いんだ。
「…スミヤさん、わたし…今 とるべき行動が、わかった気がします」
「……、それは、何?」
「カルロさんと距離を置くことです」
「ふぅん」
胸のつかえが取れたように思うミレイは、身を乗り出すと手を伸ばして、盤の上の駒を取った。
それはスミヤの陣地に置かれた「王」の駒──。
もう腹の探り合いは終わりだと、そう告げるかのように。
「──…それが君の選択?」
「はい」
「後悔するかもしれないけど」
「……大丈夫。自信はありますから」
ミレイは駒を軽く握りしめて、箱の中に収めた。

