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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第28章 奪回

「懐かしいな。兄さんにからかわれて暴れるハルトが、湯をかぶって…むせてる光景を思い出す」
「いつの話だよ」
「いつだったかなぁ、一年前かな」
「もっとずっと昔だろうが!」
濡れた手で短髪を掻きむしり、ハルトは大きく舌を打った。
「…くそ…っ、ただでさえ今日は、ウザイ指導官に捕まって散々だったってのに…!!」
「あれ、ハルトもかい?僕もさ、奇遇だね」
「──…」
ハルトが舌打ちと一緒に吐き捨てた文句に、スミヤが反応する。
目を閉じていたカルロも同じだった。
どうやらこの三人──
こうも同じタイミングで、風呂場に集まってしまったのには理由がありそうだ。
「…?なんだよ、お前等もかよ」
「僕は朝から、抜き打ちの武術試験でくたくたさ。銃器の使用は禁止でね。──素手でやるのは苦手だから危なかった」
「俺は部屋に閉じ込められてハッキング試験だった。あのふざけた指導官、冷房が壊れたとか嫌がらせしてきやがって」
「…兄さんは?」
銀バッジを持つ者に、不定期に行われる抜き打ち試験。
これに合格しなければバッジは降格されるのだ。

