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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第28章 奪回

「……」
スミヤもかける言葉を失い、どうしたものかと目を伏せた。
兄の苦しみは、今に始まった事ではない。
そしてこれだけ苦しむ兄を──かつての彼は知らなかった。
──ところが、カルロと同じく黙ってしまったスミヤの奥で、立ち上がったハルト。
今度こそ…この空間に堪えられなくなったのか。
風呂場を後にするのかと思いきや
湯から出たハルトは洗い場に向かった。
洗い場には四つの蛇口が並んでいて
その隣には、木の桶( オケ )がピラミッド型に積まれている。
ハルトは頂上に置かれた桶をひとつ取り、シャワーの蛇口をひねった。
そして足元に置き直した桶に、水をいっぱいに溜めていく。
ザーーー…
……キュッ
溜まった水は飽和状態だった。
ハルトが片手で桶を掴み上げると、斜めになった桶はなすすべなく水を溢すしかなかった。
そうして溢れる水をあまり気にしていないらしい彼は、桶を手に戻っていく。
「──…ッッ」
ハルトはそれを躊躇なく──
カルロの頭に、勢いよく

