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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第28章 奪回

「ハルト…!? …何を、して…」
ポタ...
カルロの金髪から滴る( シタタル )水の粒──。
放り投げられた桶は、岩の向こうの植栽の隙間に埋もれてしまっている。
「…ッ…ふん」
動転するスミヤの声を無視して、ハルトはさっさと風呂場から出ていった。
乱暴に扉を開けて…荒々しく閉める。
脱衣所からは壁を殴った大きな音が聞こえ
──そして彼の足音は遠ざかっていった。
........
「──…」
ポタ..
何か言い返すどころか、振り向くことさえできなかったカルロ。
かけられた水の冷たさは…ひいていくでなく、むしろ増してゆく。
こんな状況なのに何故か冷静になる自身の頭に驚きつつ、彼はハルトの捨て台詞を脳内で繰り返した。
腰抜け…──
こだまのように再生される、侮辱の言葉…。
それにこもったハルトの思いが、彼の頭を何度も殴り付けてきた。

