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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第28章 奪回

水をかけてきたハルトは
心の内で……今、悔しさに涙を流しているのかもしれない。
そんなふうに推測してしまうほど、ぶつけられた思いは強かった。
そしてカルロは
こうやって他者に思いをぶつけられる事が
初めてではないという事実を──痛感する。
…───
《 わたしにとってカルロさんは
どうでもいい存在なんかじゃない……!! 》
《 この気持ちは変わりません、絶対に 》
《 あなたの側にいたいんです…っ 》
だから……
《 愛するものを殺したり、しないで……!! 》
…いつもいつも真正面からぶつかってくる
自分勝手に…我が儘に。
そんな彼女の瞳の力強さを思い出し
それを躱して( カワシテ )ばかりの自分の弱さに立ち返る。
「……ク、腰抜け、か」
笑うしかない。
なんだってあいつ等は、あんなに単純な思考で行動できるんだ。
自分にはできない。
“ だから弱いままなのか… ”
だから俺だけ、このアリ地獄から脱け出せないのか。

