この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第28章 奪回

“ お母さんにも、こんなふうにしたのかな ”
どうして母はジンから逃げたのだろうか。
ミレイは今ならその理由がわかる気がした。
確かに、警備局長の家族ならばテロリストの標的になる可能性が高い。
だから、ジンがここまで神経質なのは仕方がないのかもしれない…。
でも、それでも と、ミレイは考える。
“ こうやっていつも誰かに見張られて過ごすなんて堪えられそうにない…。きっとお母さんも同じだったんだ ”
守られてばかりのこの生活には…
自由がない。窮屈だ。
「帰りたい…な」
誰にも聞こえない声でぼそりと呟いて、ミレイは自分で自分を笑ってしまう。
帰りたいなんて、可笑しい。
自分の家族はここにしかいないのに。どこにも…帰る家なんてない筈なのに。

