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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第28章 奪回

腕を離してくれない男の──彼が着ている警官の制服を引っ張って、叩きながら
ミレイは大声で訴えた。
「わたしの迎えかもしれないの!」
彼にこんなことを言っても意味なんて理解できないだろう。
そうと知っていながらミレイは叫ぶのを止めない。
腕を振りほどこうともがいた。
「…カルロさんに会いたいの…ッッ…あの人に、迎えに来てほしいの……!!」
「…どうして?」
「そんなのっ─ただの、わたしの…我が儘…!!」
会場の騒ぎが大きくなっている。
それでも彼女は怯む気になれず、戻ろうとする。
「お願い!手を……離して……っ」
「離さない」
「…手を…っ…──」
「……」
「…、……!」
男の胸を強く押した拍子に
彼の被っていた帽子が、頭から外れて床に落ちた。

