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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第31章 Epilogue ── とある恋人たちの日常

他人の髪を切ったことなんてない。
「嫌ですってば」
「…なら返しなよ。俺が切る……ファァ」
「言ったそばからアクビしてる…っ」
だが、今の彼に好き放題にさせるよりはまだ…自分が切ったほうがマシだとわかる。
これはもう覚悟を決めるしかなかった。
「…わかりました。わたしが切ります」
「ああ、…フワァ……。勝手に、しろ」
「ほら寝ないで!わたしがするから、せめて起きて座るくらいして下さい」
バシバシ!
一度 覚悟を決めて引き受けたからには、ちゃんと任務をまっとうする。
眠る体勢に入った彼を叩き起こした。
「…叩くな…!っ…おい」
「寝たままじゃ切れないんです。移動しなくていいから…ほら、ここに、はい」
「…っ…」
「座ってください。あとこれも持って」
「…?なんで俺が…」
いやいや身体を起こしてソファに座り直したカルロに、ミレイはゴミ箱を押し付ける。
プラスチック製のそれを彼に持たせて、彼の隣に自らも座った。
「抱えてるだけで大丈夫ですから、じっとしててくださいね」
「……」
ソファの上で互いに向かい合って座り、ミレイは彼の前髪に手を伸ばした。

