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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第6章 誤解
そんな彼女は続き部屋へ向かう。
そこにはトイレと洗面台があり、電気を付けて前に広がる鏡に視線を上げた。
“ ああ… ”
意外だった。
“ 昨日はあれから…泣かなかったんだ ”
鏡に映る自分の目元に、指を当てる。
もともと腫れにくい体質ではあるけれど、予想していたよりずっと普通だ。
いつも通りの二重( フタエ )は腫れあがることなく視界もひらけている。
水を出して顔を洗えば…
きりりと締まった顔があった。
「昨日はあんなに弱かったくせに…」
なによ、その顔。
ミレイは自分で自分に嫌味を投げ付ける。
“ 負けるなってこと? ”
「…大丈夫だよ、負けないから」
洗顔を終えて着替えたミレイは、授業の支度をして筆記具を鞄に入れた。
デスク上の小物には、あのブローチがある。
中に入っているのは二つのバッジ。
彼女は大切なそれを、失くさないように引き出しにしまった。
───