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星の島で恋をした【完結】
第21章 《二十一》
セルマの質問に、カティヤ王女はアントンに言われたことを思いだしたのか、不快そうな表情を浮かべたが、口を開いた。
「リクハルドがユルヤナの一族って話よ」
再度、その一族の名を聞き、セルマの鼓動が早くなった。
ユルヤナの一族──。
それは、この国に伝わるおとぎ話に必ず出てくる伝説の一族の名前だ。
彼らはおとぎ話の主人公たちに危機が訪れるとどこからともなく現れ、助言を残して去っていくという謎の一族だ。
「アントンはおとぎ話と馬鹿にしていたけれど、ユルヤナの一族は実在するのよ」
カティヤ王女の一言にセルマの心臓はどくんと大きく跳ねた。
それは幼い頃、初めておとぎ話を聞いたときに感じたものと同じで……。
胸の奥がひどく熱くて痛くて、息をするのもやっとだった。
激しく心が高ぶり、耐えきれなくなり、セルマの瞳から涙があふれ出した。
それを見て焦ったのはカティヤ王女だ。
「セルマっ?」
「す……みま、せん」
どう聞いても涙声になり、背中でそれを聞いたリクハルドは立ち上がるとカティヤ王女の横に座っているセルマの腕を強く引き、力強く腕の中に引き込んだ。
「リクハルドがユルヤナの一族って話よ」
再度、その一族の名を聞き、セルマの鼓動が早くなった。
ユルヤナの一族──。
それは、この国に伝わるおとぎ話に必ず出てくる伝説の一族の名前だ。
彼らはおとぎ話の主人公たちに危機が訪れるとどこからともなく現れ、助言を残して去っていくという謎の一族だ。
「アントンはおとぎ話と馬鹿にしていたけれど、ユルヤナの一族は実在するのよ」
カティヤ王女の一言にセルマの心臓はどくんと大きく跳ねた。
それは幼い頃、初めておとぎ話を聞いたときに感じたものと同じで……。
胸の奥がひどく熱くて痛くて、息をするのもやっとだった。
激しく心が高ぶり、耐えきれなくなり、セルマの瞳から涙があふれ出した。
それを見て焦ったのはカティヤ王女だ。
「セルマっ?」
「す……みま、せん」
どう聞いても涙声になり、背中でそれを聞いたリクハルドは立ち上がるとカティヤ王女の横に座っているセルマの腕を強く引き、力強く腕の中に引き込んだ。