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星の島で恋をした【完結】
第22章 《二十二》
セルマはカティヤ王女を護っていると思っていたけれど、実はその逆だったと言われ、唖然とした。
だけどそういわれ、ひどく納得している気持ちもあった。
カティヤ王女の側にいると、セルマの心はとても穏やかだったのだ。まるで昔からそこが自分の居場所だったかのように……。
そうだったはずなのに、どうしてか今はとても違和感がある。
むしろリクハルドの腕の中が心地よすぎて、自分の居場所はここだと心が訴えていた。
「でも、その役目もおしまい」
そして悲しそうにカティヤ王女はリクハルドに視線を向けた。
「セルマ、あなたはとても真面目だからきちんと話をしないでいきなり護衛を解任するなんて言われたら気にするだろうと思ったから、一度、戻ってくるようにと言ったのよ」
そうしてカティヤ王女は悲しそうに目を伏せた。
「そうしたらまさか公爵家がセルマを誘拐するとは思わなくて……ごめんなさい」
「カティヤ王女……」
セルマはなんと声をかければいいのか分からず言葉を探すために口を噤んだのだが、リクハルドが大げさなため息を吐いた。
「ったく、そのせいで俺がわざわざ出向かなければならなくなっただろうが」
「あなたはあの島に引きこもりすぎてるから、ちょうど良かったんじゃないのっ?」
「引きこもって悪いか」
「悪いわよ。少しくらい留守にしたって問題ないでしょう? 年に一度くらい、顔を見せに来たっていいじゃない」
「……めんどくさい。それに、別に会わなくてもやりとりできるからいいだろう」
「そういう問題ではないでしょう?」
さらになにか言おうとリクハルドが口を開いた瞬間、馬車が止まった。
「どうやら港に着いたみたいね」
だけどそういわれ、ひどく納得している気持ちもあった。
カティヤ王女の側にいると、セルマの心はとても穏やかだったのだ。まるで昔からそこが自分の居場所だったかのように……。
そうだったはずなのに、どうしてか今はとても違和感がある。
むしろリクハルドの腕の中が心地よすぎて、自分の居場所はここだと心が訴えていた。
「でも、その役目もおしまい」
そして悲しそうにカティヤ王女はリクハルドに視線を向けた。
「セルマ、あなたはとても真面目だからきちんと話をしないでいきなり護衛を解任するなんて言われたら気にするだろうと思ったから、一度、戻ってくるようにと言ったのよ」
そうしてカティヤ王女は悲しそうに目を伏せた。
「そうしたらまさか公爵家がセルマを誘拐するとは思わなくて……ごめんなさい」
「カティヤ王女……」
セルマはなんと声をかければいいのか分からず言葉を探すために口を噤んだのだが、リクハルドが大げさなため息を吐いた。
「ったく、そのせいで俺がわざわざ出向かなければならなくなっただろうが」
「あなたはあの島に引きこもりすぎてるから、ちょうど良かったんじゃないのっ?」
「引きこもって悪いか」
「悪いわよ。少しくらい留守にしたって問題ないでしょう? 年に一度くらい、顔を見せに来たっていいじゃない」
「……めんどくさい。それに、別に会わなくてもやりとりできるからいいだろう」
「そういう問題ではないでしょう?」
さらになにか言おうとリクハルドが口を開いた瞬間、馬車が止まった。
「どうやら港に着いたみたいね」