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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第3章 運命の邂逅
しかし、梨花にもソルグクにも場所代を払うゆとりなどない。そのことを話し、何とか今までのように場所代を払わずに商売を続けさせて欲しいと丁重に話すと、女将はあろうことか、梨花に言ったのだ。
「何なら、あんたが妓生にならないかえ? あんたほどの器量良しなら、身請け料は弾んであげるよ? 纏まった金が入れば、病気のお父さんの治療費にも充てられるだろう。どうだい、悪い話じゃないと思うけど」
愁い顔で帰ってきた梨花から話を聞き、ソルグクは激怒し、そのまま飛び出していった。
「大切な妹をむざと妓生になんぞさせるものか。手前、よくも海棠に身売りしろなんて言いやがったな」
女将の胸倉を掴み、殴りかからんばかりの勢いだった兄を、慌てて追いかけてきた梨花が止めたのである。
「な、何だい。おかしな兄さんだね。ほんの少し冗談を言ってみただけじゃないか」
「何なら、あんたが妓生にならないかえ? あんたほどの器量良しなら、身請け料は弾んであげるよ? 纏まった金が入れば、病気のお父さんの治療費にも充てられるだろう。どうだい、悪い話じゃないと思うけど」
愁い顔で帰ってきた梨花から話を聞き、ソルグクは激怒し、そのまま飛び出していった。
「大切な妹をむざと妓生になんぞさせるものか。手前、よくも海棠に身売りしろなんて言いやがったな」
女将の胸倉を掴み、殴りかからんばかりの勢いだった兄を、慌てて追いかけてきた梨花が止めたのである。
「な、何だい。おかしな兄さんだね。ほんの少し冗談を言ってみただけじゃないか」