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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第4章 求め合う心
求め合う心
頭上でふいに百舌の啼き声が鋭く響き渡り、梨花は思わず空を仰いだ。
冬特有の薄蒼い空がひろがり、所々にひとすじの白雲が頼りなげに浮かんでいる。あのゆき場のない雲はまるで、今の自分の心のようだと思った。
いけない、いけないと自分で自分をふるい立たせる。新しい環境に来て日が浅いから、慣れてないのだ。だから、心細くなっているだけなのだ。いつもの自分らしく、何があっても前だけを見つめて真っすぐに進んでゆかなければと言い聞かせる。
視線を手許に戻すと、洗い立ての大根の白さが眼を射貫いた。まだすべての大根を洗い終えるまでには時間がかかりそうだ。手早くやってしまわないと、また女中頭からお小言を貰う羽目になってしまう。
頭上でふいに百舌の啼き声が鋭く響き渡り、梨花は思わず空を仰いだ。
冬特有の薄蒼い空がひろがり、所々にひとすじの白雲が頼りなげに浮かんでいる。あのゆき場のない雲はまるで、今の自分の心のようだと思った。
いけない、いけないと自分で自分をふるい立たせる。新しい環境に来て日が浅いから、慣れてないのだ。だから、心細くなっているだけなのだ。いつもの自分らしく、何があっても前だけを見つめて真っすぐに進んでゆかなければと言い聞かせる。
視線を手許に戻すと、洗い立ての大根の白さが眼を射貫いた。まだすべての大根を洗い終えるまでには時間がかかりそうだ。手早くやってしまわないと、また女中頭からお小言を貰う羽目になってしまう。