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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第4章 求め合う心
いよいよ家を出る間際、梨花は父に向かって、拝礼(クンジヨル)を行った。立ち上がって両手を組んで眼の高さに持ち上げ、そのまま座り頭を垂れるのである。目上の相手に対して最上級の敬意を表する意味を持つ。
兄は傍らで、父に挨拶する梨花を黙って見守っていた。
兄のあのやるせなさそうな顔が今も瞼に灼きついて離れない。
梨花は重い息を吐いて、無意識に手許の野菜を掴んだ。たくさんの大根はキムチを漬けるためのものだが、他にじゃが芋も洗わなければならない。考え事をしていたせいで、随分と作業が遅れてしまった。
これで、女中頭から
兄は傍らで、父に挨拶する梨花を黙って見守っていた。
兄のあのやるせなさそうな顔が今も瞼に灼きついて離れない。
梨花は重い息を吐いて、無意識に手許の野菜を掴んだ。たくさんの大根はキムチを漬けるためのものだが、他にじゃが芋も洗わなければならない。考え事をしていたせいで、随分と作業が遅れてしまった。
これで、女中頭から