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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第4章 求め合う心
「何しろ昔のことだから、もう忘れてしまった。そなたがそのように申すのだから、宗先生に頼んだのかもしれない。頼んだ私の方がもう忘れているのだ。そなたもいつまでも些細なことを恩に着る必要はないのだよ」
その言葉が、南斗は忘れてはいないのだと何より物語っている。恐らく、優しい彼のことだから、梨花に余計な気遣いをさせまいと、わざと忘れたふりをしているのだろう。
南斗の労りが身に滲みた。
しばらく雨の音だけが続いた。まるで、この広い世界に、南斗と二人だけでいるような錯覚に囚われてしまう。
その言葉が、南斗は忘れてはいないのだと何より物語っている。恐らく、優しい彼のことだから、梨花に余計な気遣いをさせまいと、わざと忘れたふりをしているのだろう。
南斗の労りが身に滲みた。
しばらく雨の音だけが続いた。まるで、この広い世界に、南斗と二人だけでいるような錯覚に囚われてしまう。