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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
「若さま、もう止めて下さい。これ以上、殴れば、ソヌが死んでしまいます」
梨花は泣きながら、南斗の腕に縋りついた。
「私は、この男を絶対に許さぬ。海棠をこのような目に遭わせたこやつをけして!」
かなり興奮しているのか、南斗の声が戦慄いていた。
梨花はなおも南斗に縋ったまま、懸命に言葉を重ねる。
「私がお止めしているのは、ソヌのためではありません。私のような賤しい者のために、若さまがその手を血で汚すのを見ていられないからです」
その言葉に、南斗が眼を見開いた。
「海棠―」
哀しげな瞳が梨花を見つめていた。何故なのか、陵辱されそうになった梨花よりも、南斗の方が傷ついたような眼をしている。
南斗は何かに耐えるように、しばらく眼を瞑っていた。
梨花は泣きながら、南斗の腕に縋りついた。
「私は、この男を絶対に許さぬ。海棠をこのような目に遭わせたこやつをけして!」
かなり興奮しているのか、南斗の声が戦慄いていた。
梨花はなおも南斗に縋ったまま、懸命に言葉を重ねる。
「私がお止めしているのは、ソヌのためではありません。私のような賤しい者のために、若さまがその手を血で汚すのを見ていられないからです」
その言葉に、南斗が眼を見開いた。
「海棠―」
哀しげな瞳が梨花を見つめていた。何故なのか、陵辱されそうになった梨花よりも、南斗の方が傷ついたような眼をしている。
南斗は何かに耐えるように、しばらく眼を瞑っていた。