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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
ややあって、ソヌから手を放し立ち上がる。
ソヌもまたのろのろと身を起こした。
「貴様、海棠に感謝するんだな。もし、海棠が止めなければ、私はお前を本当に殺していただろう。私は今、お前をそれほどに憎いと思っているのだ、ソヌ」
ソヌは横座りになり、うつむいている。
「―若さまがそこまでこの女にご執心とは存じませんでした。海棠が若さまの女だと知っていれば、あっしはこんなことは―」
言い訳のように言うソヌに皆まで言わせず、南斗が吠えた。
「私の女ではないッ! 私は、そんな風に下卑た眼で海棠を見てはおらぬ。真剣に愛している」
「ヘッ、漢陽一と呼ばれる大富豪の坊ちゃんがたかだか女中風情を真剣に愛しているだって? 笑わせますね。それで、若さまは、本気で惚れた女をご正室にでもお迎えになるおつもりなんですかい? それとも、妾にでもなさるおつもりで?」
ソヌもまたのろのろと身を起こした。
「貴様、海棠に感謝するんだな。もし、海棠が止めなければ、私はお前を本当に殺していただろう。私は今、お前をそれほどに憎いと思っているのだ、ソヌ」
ソヌは横座りになり、うつむいている。
「―若さまがそこまでこの女にご執心とは存じませんでした。海棠が若さまの女だと知っていれば、あっしはこんなことは―」
言い訳のように言うソヌに皆まで言わせず、南斗が吠えた。
「私の女ではないッ! 私は、そんな風に下卑た眼で海棠を見てはおらぬ。真剣に愛している」
「ヘッ、漢陽一と呼ばれる大富豪の坊ちゃんがたかだか女中風情を真剣に愛しているだって? 笑わせますね。それで、若さまは、本気で惚れた女をご正室にでもお迎えになるおつもりなんですかい? それとも、妾にでもなさるおつもりで?」