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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
永遠に続くかと思われる沈黙が突如として終わった。
「何故だ?」
南斗が梨花を無表情に見つめる。
「何故、ソヌの生命乞いをした?」
南斗が脚許に転がった剣をおもむろに拾った。その切っ先がスと梨花に突きつけられる。
「奴に惚れているのか?」
梨花は喉許に突きつけられた剣先に怖じ気づく風もなく、真っすぐに南斗を見返す。
「ソヌを慕っているのなら、先刻、助けなど呼びませんでした」
「その言い分は信じられそうだな。そなたは、惚れてもおらぬ男に無闇に身を任せるような女ではない」
剣は依然として梨花に向けられている。
「では、何故、身体を張ってまで、ソヌを庇おうとした?」
梨花は淡々と応えた。
「ですから、何度も申し上げたはずです。若さまの手がソヌの血で汚れるのを見るのは忍びないと」
「何故だ?」
南斗が梨花を無表情に見つめる。
「何故、ソヌの生命乞いをした?」
南斗が脚許に転がった剣をおもむろに拾った。その切っ先がスと梨花に突きつけられる。
「奴に惚れているのか?」
梨花は喉許に突きつけられた剣先に怖じ気づく風もなく、真っすぐに南斗を見返す。
「ソヌを慕っているのなら、先刻、助けなど呼びませんでした」
「その言い分は信じられそうだな。そなたは、惚れてもおらぬ男に無闇に身を任せるような女ではない」
剣は依然として梨花に向けられている。
「では、何故、身体を張ってまで、ソヌを庇おうとした?」
梨花は淡々と応えた。
「ですから、何度も申し上げたはずです。若さまの手がソヌの血で汚れるのを見るのは忍びないと」