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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
「ソヌが自分を陵辱しようとした男でも、か?」
はい、と、梨花は躊躇いもなく頷いた。
「若さまはお信じにならないかもしれませんが」
梨花はここで少し逡巡を見せ、それでもひと息に言った。
「私は昔、人を殺めたことがあります。まだ、ほんの子どもでした。止むに止まれぬ事情があったとはいえ、そのことはいまだに拭いきれない罪として重く心にのしかかっています。若さま、人の生命を奪うというのは、そういうことなのです。若さまは、たとえ家僕であろうと、人ひとりの生命を奪って、平然となさっているような方ではありません。この先、きっと後悔なさることがあるでしょう。私は、若さまに私と同じような辛い想いをして頂きたくないのです」
南斗が長い吐息をついた。
はい、と、梨花は躊躇いもなく頷いた。
「若さまはお信じにならないかもしれませんが」
梨花はここで少し逡巡を見せ、それでもひと息に言った。
「私は昔、人を殺めたことがあります。まだ、ほんの子どもでした。止むに止まれぬ事情があったとはいえ、そのことはいまだに拭いきれない罪として重く心にのしかかっています。若さま、人の生命を奪うというのは、そういうことなのです。若さまは、たとえ家僕であろうと、人ひとりの生命を奪って、平然となさっているような方ではありません。この先、きっと後悔なさることがあるでしょう。私は、若さまに私と同じような辛い想いをして頂きたくないのです」
南斗が長い吐息をついた。