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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
「そなたは随分と辛い想いをしてきたのだな。たった今、私のためだと言いながらもソヌを庇おうとした心優しきそなたが人を殺めたと言う。よほどのことがあったのだろう。可哀想に」
「遠い遠い昔の話です」
梨花が淡く微笑むと、南斗が手にした刀を投げ捨てるように放った。乾いた音と共に、剣が再び床に落ちる。
「教えてくれ、梨花。そなたを私のものにするには一体、どうしたら良いのだ?」
梨花が弾かれたように面を上げた。
視線と視線が切なく交わる。
「ソヌに申したのは、すべて真のことだ。嘘偽りはひと欠片もない。私はそなたを愛している。ふた月前、初めて町で出逢ったときから、ずっと、そなたを忘れられなかった」
「若さま、ソヌの言ったことは、けして間違ってはおりません」
その何げない言葉に、南斗の顔が険しくなった。
「遠い遠い昔の話です」
梨花が淡く微笑むと、南斗が手にした刀を投げ捨てるように放った。乾いた音と共に、剣が再び床に落ちる。
「教えてくれ、梨花。そなたを私のものにするには一体、どうしたら良いのだ?」
梨花が弾かれたように面を上げた。
視線と視線が切なく交わる。
「ソヌに申したのは、すべて真のことだ。嘘偽りはひと欠片もない。私はそなたを愛している。ふた月前、初めて町で出逢ったときから、ずっと、そなたを忘れられなかった」
「若さま、ソヌの言ったことは、けして間違ってはおりません」
その何げない言葉に、南斗の顔が険しくなった。