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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第1章 燐火~宿命の夜~
「この娘を生かしておくのはまだ良いが、息子の方はもう十三、直に成人する。右相大監も跡取りを逃したことは許しちゃくれねえだろう」
ミンスが考え深げに言った。
「確かに、手痛いどころか致命的な失敗ではあるな。だが、所詮、俺らは使い走りの下っ端に過ぎねえ。俺たちは上から与えられた命令で動くだけだし、その俺たちを直接雇ったのは、大監の手先となって動く悪徳商人さ」
「つまりは」
ミンスが勿体ぶった口調で言い、あとの二人の顔を交互に見た。
「大監は俺たちの名前も顔も知っちゃいねえということさ」
「お前って奴は、たいした悪党だな」
背の低い男が唸るように言う。
ミンスがほくそ笑んだ。
「礼金は既に半分、きっちりと前渡しされてる。後の分は貰えなくても、このガキを売り飛ばしゃア、後で渡される分くらいの金にはなるだろう。俺たちは、それを持って当分は漢陽をずらかるって寸法だ」
ミンスが考え深げに言った。
「確かに、手痛いどころか致命的な失敗ではあるな。だが、所詮、俺らは使い走りの下っ端に過ぎねえ。俺たちは上から与えられた命令で動くだけだし、その俺たちを直接雇ったのは、大監の手先となって動く悪徳商人さ」
「つまりは」
ミンスが勿体ぶった口調で言い、あとの二人の顔を交互に見た。
「大監は俺たちの名前も顔も知っちゃいねえということさ」
「お前って奴は、たいした悪党だな」
背の低い男が唸るように言う。
ミンスがほくそ笑んだ。
「礼金は既に半分、きっちりと前渡しされてる。後の分は貰えなくても、このガキを売り飛ばしゃア、後で渡される分くらいの金にはなるだろう。俺たちは、それを持って当分は漢陽をずらかるって寸法だ」