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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
それでなくとも、最近、奥さまは南斗と梨花の仲を勘繰っているらしく、女中頭のグミョンが梨花を直々に呼び出して
―身の程をわきまえた行動をしなければなりませんよ。そなたが若さまを慕う気持ちは同じ女として判らないでもないが、若さまは尹家の跡取り、お前がどう夢見ても、所詮は結ばれない運命なのだから。
と、釘を刺されたばかりだ。
南斗が周囲を見回し、微笑んだ。
「大丈夫だ、誰もいない」
〝来なさい〟と、更に促され、梨花は今度は言われるままに南斗の胸に抱かれた。
「一日も早く、そなたを大っぴらにこうして腕に抱けるようになりたいものだ。誰に気兼ねすることもなく共に語り合い、笑い合えたら、どんなにか幸せだろう」
梨花は南斗の肩に頬を預ける。
「海棠、私の妻になってくれ」
突如として降ってきた言葉に、梨花は弾かれたように面を上げた。
―身の程をわきまえた行動をしなければなりませんよ。そなたが若さまを慕う気持ちは同じ女として判らないでもないが、若さまは尹家の跡取り、お前がどう夢見ても、所詮は結ばれない運命なのだから。
と、釘を刺されたばかりだ。
南斗が周囲を見回し、微笑んだ。
「大丈夫だ、誰もいない」
〝来なさい〟と、更に促され、梨花は今度は言われるままに南斗の胸に抱かれた。
「一日も早く、そなたを大っぴらにこうして腕に抱けるようになりたいものだ。誰に気兼ねすることもなく共に語り合い、笑い合えたら、どんなにか幸せだろう」
梨花は南斗の肩に頬を預ける。
「海棠、私の妻になってくれ」
突如として降ってきた言葉に、梨花は弾かれたように面を上げた。