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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
これから先、この恋は幾多の障害に阻まれるだろう。南斗からこれほど真心のこもった言葉を聞かされても、梨花は必ずしも二人の恋が実るものではないと少なからず懐疑的であった。
何より、梨花と南斗は住む世界が違いすぎる。南斗が何もかもを棄てて家を出るなら別だけれど、皆に祝福され認められて二人が晴れて夫婦となれるとは到底信じられなかった。
この(朝 )国(鮮 )の政の基盤は儒教の教えであり、儒教では身分の上下を最も重んずる。だからこそ、国王を頂点とする両班といった上層階級が我が物顔で幅を利かしているのだ。
両班でなければ人ではない、あながち、その言葉は大仰でも何でもなく、この国のあり様の真実を示している。ほんのひと握りの特権階が威張り散らし、貧しい庶民から搾取する。
何より、梨花と南斗は住む世界が違いすぎる。南斗が何もかもを棄てて家を出るなら別だけれど、皆に祝福され認められて二人が晴れて夫婦となれるとは到底信じられなかった。
この(朝 )国(鮮 )の政の基盤は儒教の教えであり、儒教では身分の上下を最も重んずる。だからこそ、国王を頂点とする両班といった上層階級が我が物顔で幅を利かしているのだ。
両班でなければ人ではない、あながち、その言葉は大仰でも何でもなく、この国のあり様の真実を示している。ほんのひと握りの特権階が威張り散らし、貧しい庶民から搾取する。