この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
梨花のような常民(サンミン)はまだマシな方だ。その下の白(ベク)丁(チヨン)と呼ばれる奴婢になると、〝獣より劣る〟とされ、同じ人間でありながら貶められた。事実、奴婢は所有者の財産、つまり物と見なされ、人扱いはされない。持ち主の意のままに売り買いされても、文句は言えないのだ。
南斗は両班ではないが、同じ常民でも、その日暮らしの貧乏人と両班よりも豪勢な暮らしを送る大商人では、これもまた立場に決定的な高低がある。
それでも、南斗の変わらぬ心と強い覚悟は、梨花の心を動かした。これから先、どのような高い壁にゆく手を遮られようと、南斗と一緒であれば、障害をも試練と受け止めて前に向いて進んでゆけるような気がしたのである。
何の力もない梨花には、ただ南斗の変わらない愛情だけが頼りであり、支えであった。彼の心が変わらない限り、梨花もまた心を強く持ち、彼についてゆけるのではないか―、混沌とした未来に一縷の希望を見出したような気がしたのだ。
南斗は両班ではないが、同じ常民でも、その日暮らしの貧乏人と両班よりも豪勢な暮らしを送る大商人では、これもまた立場に決定的な高低がある。
それでも、南斗の変わらぬ心と強い覚悟は、梨花の心を動かした。これから先、どのような高い壁にゆく手を遮られようと、南斗と一緒であれば、障害をも試練と受け止めて前に向いて進んでゆけるような気がしたのである。
何の力もない梨花には、ただ南斗の変わらない愛情だけが頼りであり、支えであった。彼の心が変わらない限り、梨花もまた心を強く持ち、彼についてゆけるのではないか―、混沌とした未来に一縷の希望を見出したような気がしたのだ。