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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第1章 燐火~宿命の夜~
った両班の坊ちゃんでも判るだろうよ」
「お前の頭の良さにはつくづく感心するぜ、ミンス」
新顔の男も笑いながら頷いている。
梨花は男たちの話を一言一句聞き逃すまいと息を詰めて聞き入っていた。
―兄上さまが生きておいでになった!
その事実は、梨花の心に希望を与えてくれた。もっとも、現段階では兄が無傷でいるのかどうかまでは判らないけれど、とにかく何とか悪党どもの魔手から逃れることはできたらしい。
今は兄が生命に拘わるような怪我を負うていないことを祈るしかない。そして。
心配するよりも、とにかく兄を探し出すのだ。兄と合流できれば、これからのことについて話し合える。
梨花は大きく息を吸い込むと、両手で顔を覆いすすり泣き始めた。
「おじさん(アデユツシ)、おじさん」
梨花はわざと男たちに聞こえるように大きな声で泣き叫んだ。
「お前の頭の良さにはつくづく感心するぜ、ミンス」
新顔の男も笑いながら頷いている。
梨花は男たちの話を一言一句聞き逃すまいと息を詰めて聞き入っていた。
―兄上さまが生きておいでになった!
その事実は、梨花の心に希望を与えてくれた。もっとも、現段階では兄が無傷でいるのかどうかまでは判らないけれど、とにかく何とか悪党どもの魔手から逃れることはできたらしい。
今は兄が生命に拘わるような怪我を負うていないことを祈るしかない。そして。
心配するよりも、とにかく兄を探し出すのだ。兄と合流できれば、これからのことについて話し合える。
梨花は大きく息を吸い込むと、両手で顔を覆いすすり泣き始めた。
「おじさん(アデユツシ)、おじさん」
梨花はわざと男たちに聞こえるように大きな声で泣き叫んだ。