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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第6章 兄の心
その話は兄にも意外だったらしい。
「なら、相手の男は、お屋敷の使用人ではないな」
念を押すように言われ、梨花は曖昧に笑った。
「誰なのかを、どうしても言わなきゃならないの?」
「当たり前だ。兄であり保護者である俺が知らずに済む話じゃない」
梨花は小さく息を吸い込んだ。やはり、言葉が喉許につかえたようで、なかなか出ない。
「―相手の方は」
「相手の方だぁ? そんなにたいそうな奴なのか?」
兄は訝しげに眉根を寄せている。
梨花は頷いた。
「尹家の若さまなの」
刹那、兄の双眸が梨花を射貫くように見開かれた。
「な、何だと? 尹家の若さまだと」
ソルグクは絶句した。流石に、兄の妄想の範囲を著しく超えていたらしい。
「なら、相手の男は、お屋敷の使用人ではないな」
念を押すように言われ、梨花は曖昧に笑った。
「誰なのかを、どうしても言わなきゃならないの?」
「当たり前だ。兄であり保護者である俺が知らずに済む話じゃない」
梨花は小さく息を吸い込んだ。やはり、言葉が喉許につかえたようで、なかなか出ない。
「―相手の方は」
「相手の方だぁ? そんなにたいそうな奴なのか?」
兄は訝しげに眉根を寄せている。
梨花は頷いた。
「尹家の若さまなの」
刹那、兄の双眸が梨花を射貫くように見開かれた。
「な、何だと? 尹家の若さまだと」
ソルグクは絶句した。流石に、兄の妄想の範囲を著しく超えていたらしい。