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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第7章 哀しい現実
「海棠の実の父親が兵曹判書だと先刻、あなたは言いましたが、一体、あの夜、何が起こったんですか? あの子は血まみれの夜着を着て倒れていた。どう考えても、尋常ななりゆきとは思えない。俺たちは、あの子に辛い想い出を思い出させくないと敢えて何も訊きはしませんでした。でも、十一年前の夜、どんな怖ろしいことがあの子を襲ったのか、それを知りたいという気持ちはあります」
 この人には本音で語るべきだ。ソルグクはそう思い、長年、心の奥底にしまってきた疑問をついに口にした。
 ジュソンが声を震わせた。
「十一年前の夜の惨劇は、実に怖ろしいものでした。我が旦那さまは兵曹判書の他に義禁府長の要職も兼ねておいでだったのです。当時、旦那さまは国王殿下の王命を帯びて、極秘調査をしていました。あと少しである犯罪の黒幕を捕らえる証拠を掴めるというところで、旦那さまは殺されました。―消されたのですよ。時の右議政とそれと結託していた商人猛威徳が旦那さまを、いいえ、旦那さまだけでなく、奥さまや屋敷にいた奉公人すべてを無惨に斬り殺しました」
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