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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第7章 哀しい現実
「でも、何故、林家の若君が北斗商団の大行首の息子になったのですか? その辺が俺には今一つよく判らないのですが」
ジュソンが遠い瞳になった。
「私の姉が当時、尹家の女中をしておりましたもので、そのつてを頼り、若さま共々姉の許に匿って貰ったのです。もちろん、大行首さまもそのことは、ご存じでした。知っているかどうかは判りませんが、大行首さまは懐の広い男気のあるお方です。凄腕と評されるほどの商売人ですから、商いにかけては非情な面もお持ちですが、普段は穏やかな気質の面倒見の良い方なのです」
ジュソンは訥々と語った。
猛威徳と並び称されるほどの大商人尹北斗は、かねてから威徳のあくどい商法を快く思っていなかった。〝儲けの一部を民に還元するのが真の商売人である〟との信条を持つ彼は、己れの利潤のみを追求する威徳のやり方に常から批判的だった。
ジュソンが遠い瞳になった。
「私の姉が当時、尹家の女中をしておりましたもので、そのつてを頼り、若さま共々姉の許に匿って貰ったのです。もちろん、大行首さまもそのことは、ご存じでした。知っているかどうかは判りませんが、大行首さまは懐の広い男気のあるお方です。凄腕と評されるほどの商売人ですから、商いにかけては非情な面もお持ちですが、普段は穏やかな気質の面倒見の良い方なのです」
ジュソンは訥々と語った。
猛威徳と並び称されるほどの大商人尹北斗は、かねてから威徳のあくどい商法を快く思っていなかった。〝儲けの一部を民に還元するのが真の商売人である〟との信条を持つ彼は、己れの利潤のみを追求する威徳のやり方に常から批判的だった。