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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第7章 哀しい現実
威徳が右議政と計って兵曹判書林成水を謀殺したと知り、ますます威徳を憎むようになっていた。そこに、自らの屋敷に仕える女中頭の弟が林家の若さまだという少年を連れてきたのである。
対面してみると、少年は利発で、商人には何より必要とされる算術・計算に優れた才能を示した。この時、実子のいない北斗は、少年を養子として迎え入れることを決めたのだ。
但し、表向きには養子ではなく、外に囲った側妾に生ませた実の息子を引き取ったのだと言い繕った。長い間、寺に置いていたが、この度、正式に嫡子として屋敷に迎え入れることにすると公表した。
「若さまを姉の手に託してから、私は尹さまの屋敷を去りました。林家にお仕えしていた私がいつまでも若さまの側にいては、万が一、右議政や猛威徳が若さまの素姓について何か勘づくかもしれないと身を退いたのです」
対面してみると、少年は利発で、商人には何より必要とされる算術・計算に優れた才能を示した。この時、実子のいない北斗は、少年を養子として迎え入れることを決めたのだ。
但し、表向きには養子ではなく、外に囲った側妾に生ませた実の息子を引き取ったのだと言い繕った。長い間、寺に置いていたが、この度、正式に嫡子として屋敷に迎え入れることにすると公表した。
「若さまを姉の手に託してから、私は尹さまの屋敷を去りました。林家にお仕えしていた私がいつまでも若さまの側にいては、万が一、右議政や猛威徳が若さまの素姓について何か勘づくかもしれないと身を退いたのです」