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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第7章 哀しい現実
南斗、いやソンジュンにとって、梨花は最愛の妹であった。七つ下の妹は、いつも何をするにも彼の後をついてきた。そんな妹をソンジュンは親しみを込めた愛称として〝小花〟と呼んだ。梨花を小花と呼ぶのは、この世でソンジュンだけだった。
果てのない絶望と孤独が彼を呑み込み、彼は心を切り裂く負の感情に負けそうな自分を怖いくらい意識していた。
あの小さかった妹、いつも自分の後をついてきて、転んで泣いていたばかりの幼い妹が恋をするような年頃になっていたのだ。
本来なら、兄として妹の成長を誰よりも歓ぶべきはずなのに、妹が恋をした相手がよもや自分であったとは。
そして、他ならぬ自分もあの可憐で優しい娘が十一年前に生き別れになったきりの妹とは知らずに恋に落ちてしまった。
自分と妹をめぐる宿命の残酷さ、運命の皮肉がただただ恨めしい。さだめは自分たち兄妹をどこまで翻弄すれば気が済むのだろう。
果てのない絶望と孤独が彼を呑み込み、彼は心を切り裂く負の感情に負けそうな自分を怖いくらい意識していた。
あの小さかった妹、いつも自分の後をついてきて、転んで泣いていたばかりの幼い妹が恋をするような年頃になっていたのだ。
本来なら、兄として妹の成長を誰よりも歓ぶべきはずなのに、妹が恋をした相手がよもや自分であったとは。
そして、他ならぬ自分もあの可憐で優しい娘が十一年前に生き別れになったきりの妹とは知らずに恋に落ちてしまった。
自分と妹をめぐる宿命の残酷さ、運命の皮肉がただただ恨めしい。さだめは自分たち兄妹をどこまで翻弄すれば気が済むのだろう。