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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第7章 哀しい現実
そういえば、と、南斗は今更ながらに思い出す。
よくよく考えてみれば、思い当たることはあったのに、どうして今まで気づかなかったのか。
ふた月前、宗俊秀の屋敷から帰る途中、南斗は急に雹に降られて筆屋の軒先で雨宿りをした。あの日、奇しくも海棠も同じ場所で雹を避けていた。
軒下で立ち話をしていた海棠が俄に持病の癪を起こした。
―いつもはよく効く薬を持ち歩いているのですが、今日は生憎と忘れてしまったのです。その薬を飲めば、すぐに治まるので、大丈夫です。
確かにあの時、海棠は言った。
ソンジュンの妹梨花もまた、物心ついた頃から、持病の癪を患っていた。
よくよく考えてみれば、思い当たることはあったのに、どうして今まで気づかなかったのか。
ふた月前、宗俊秀の屋敷から帰る途中、南斗は急に雹に降られて筆屋の軒先で雨宿りをした。あの日、奇しくも海棠も同じ場所で雹を避けていた。
軒下で立ち話をしていた海棠が俄に持病の癪を起こした。
―いつもはよく効く薬を持ち歩いているのですが、今日は生憎と忘れてしまったのです。その薬を飲めば、すぐに治まるので、大丈夫です。
確かにあの時、海棠は言った。
ソンジュンの妹梨花もまた、物心ついた頃から、持病の癪を患っていた。