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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第8章 終焉
丁度、女中頭のグミョンに声をかけられた時、梨花は厨房で鍋を覗き込んでいた。明日の弔いに備えて弔問客に出す食事の下ごしらえをしていたのだ。
「海棠、ちょっと」
手招きされ、〝はい(イエー)〟とすぐに側にゆくと、身許で囁かれた。
「ここは良いから、私についてきなさい」
どこにゆくのかと思っていたら、グミョンは庭を横切り、南斗の居室に向かってゆく。
南斗の部屋は、広大な庭を挟んで、両親たちの暮らす母家とは向かい合う形で建っていた。部屋といっても、独立した離れのような趣である。
「若さまに最後のお別れをするんですよ。お前も気づいているかもしれませんが、若さまはご病気で亡くなられたわけではありません。自ら生命を絶たれたのです」
グミョンはしまいは聞き取れないほどの声で耳打ちすると、短い階(きざはし)を上り、両開きの扉を開けた。
「海棠、ちょっと」
手招きされ、〝はい(イエー)〟とすぐに側にゆくと、身許で囁かれた。
「ここは良いから、私についてきなさい」
どこにゆくのかと思っていたら、グミョンは庭を横切り、南斗の居室に向かってゆく。
南斗の部屋は、広大な庭を挟んで、両親たちの暮らす母家とは向かい合う形で建っていた。部屋といっても、独立した離れのような趣である。
「若さまに最後のお別れをするんですよ。お前も気づいているかもしれませんが、若さまはご病気で亡くなられたわけではありません。自ら生命を絶たれたのです」
グミョンはしまいは聞き取れないほどの声で耳打ちすると、短い階(きざはし)を上り、両開きの扉を開けた。