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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第8章 終焉
南斗の側に付きっきりであった夫人は、再び過労で倒れた。その隙を見計らって、グミョンが梨花を連れてきてくれたのである。
グミョンは梨花を部屋の中に引き入れると、自分は黙って出ていった。気を利かしてくれているのだろう。
「若さま」
梨花はそっと南斗を呼ぶ。
しかし、白布の掛かった南斗の身体は微動だにしない。
「若さま」
何度呼んでみても、南斗は応えないし、眼も覚まさなかった。
「―若さま、お願いだから、眼を開けて」
梨花は枕辺にへたり込むと、おずおずと手を伸ばした。震える手で白布を取ると、意外にも安らいだ表情の南斗がいた。
「どうして? どうしてなんですか?」
これまで耐えに耐えていた涙がどっと溢れた。
グミョンは梨花を部屋の中に引き入れると、自分は黙って出ていった。気を利かしてくれているのだろう。
「若さま」
梨花はそっと南斗を呼ぶ。
しかし、白布の掛かった南斗の身体は微動だにしない。
「若さま」
何度呼んでみても、南斗は応えないし、眼も覚まさなかった。
「―若さま、お願いだから、眼を開けて」
梨花は枕辺にへたり込むと、おずおずと手を伸ばした。震える手で白布を取ると、意外にも安らいだ表情の南斗がいた。
「どうして? どうしてなんですか?」
これまで耐えに耐えていた涙がどっと溢れた。