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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第8章 終焉
意外な兄の科白に、梨花は眼を見開いた。
「今更何を言って―」
ソルグクの精悍な貌には静かな諦めが滲んでいた。だが、何故、ソルグクがそんな表情をするのか、梨花には理解できない。
梨花の当惑をよそに、ソルグクは淡々と言った。
「尹南斗こそがお前の実の兄だった」
「そんな―」
眼の前が真っ白な霧に覆われ、梨花はクラリと軽い眩暈を憶えた。
「南斗が亡くなる十日前、俺は奴を訪ねてお屋敷に行った。南斗は―お前の兄さんは、お前が十一年前に別れたきりの妹だとは全く知らなかった。ジュソンという男が俺を訪ねてきて、真相をすべて話していったんだ。南斗を連れて生命からがら逃げた後、ジュソンは尹家の女中をしていた姉さんを頼っていった。南斗は将来性を見込まれて、大行首の養子になったんだ」
「今更何を言って―」
ソルグクの精悍な貌には静かな諦めが滲んでいた。だが、何故、ソルグクがそんな表情をするのか、梨花には理解できない。
梨花の当惑をよそに、ソルグクは淡々と言った。
「尹南斗こそがお前の実の兄だった」
「そんな―」
眼の前が真っ白な霧に覆われ、梨花はクラリと軽い眩暈を憶えた。
「南斗が亡くなる十日前、俺は奴を訪ねてお屋敷に行った。南斗は―お前の兄さんは、お前が十一年前に別れたきりの妹だとは全く知らなかった。ジュソンという男が俺を訪ねてきて、真相をすべて話していったんだ。南斗を連れて生命からがら逃げた後、ジュソンは尹家の女中をしていた姉さんを頼っていった。南斗は将来性を見込まれて、大行首の養子になったんだ」