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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第2章 転生
さあ、と、少年が器を近づける。
いや、と、梨花が身を退いた。
「嫌だって言ってるでしょう」
梨花が少年の手を思いきり払った。拍子に、器が彼の手から離れ、床に転がる。茶色い薬は床に飛び散り、大きな染みを作った。
「何をするんだ! あの薬を買うのに、親父が一体、どれだけ働かなきゃいけないと思ってる!」
少年が声を荒げた。
「お前、両班か金持ちの娘だろう? 俺がお前を見つけた時、お前は凄く上等の夜着を着てた。夜着が血だらけだったから―、最初はお前が怪我をしてるのかと思ったんだぞ」
「夜着が血だらけ?」
梨花は愕然として呟いた。慌てて自分の着ているものを見ると、けして上等ではないけれど、清潔な夜着を着せられている。
多分、ここに連れてこられた後、着替えさせた貰ったに違いない。夜着を濡らしていたのは、紛れもないスンチョンの血であり、あの男たちの吐いた血だ。
いや、と、梨花が身を退いた。
「嫌だって言ってるでしょう」
梨花が少年の手を思いきり払った。拍子に、器が彼の手から離れ、床に転がる。茶色い薬は床に飛び散り、大きな染みを作った。
「何をするんだ! あの薬を買うのに、親父が一体、どれだけ働かなきゃいけないと思ってる!」
少年が声を荒げた。
「お前、両班か金持ちの娘だろう? 俺がお前を見つけた時、お前は凄く上等の夜着を着てた。夜着が血だらけだったから―、最初はお前が怪我をしてるのかと思ったんだぞ」
「夜着が血だらけ?」
梨花は愕然として呟いた。慌てて自分の着ているものを見ると、けして上等ではないけれど、清潔な夜着を着せられている。
多分、ここに連れてこられた後、着替えさせた貰ったに違いない。夜着を濡らしていたのは、紛れもないスンチョンの血であり、あの男たちの吐いた血だ。