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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第2章 転生
男の声が聞こえ、やがて、扉の静かに閉まる音が続いた。
「―大丈夫か?」
ややあって、躊躇いがちな声がかけられた。
漸く少しだけ落ち着きを取り戻し、梨花は大きな黒い瞳を見開き、少年を見つめた。
「これを呑むと良い。気分が少しは落ち着くから」
差し出されたのは、縁の少し欠けた器だった。茶色の液体が入っている。
梨花は知らず首を振った。
「い―や。呑まない」
少年が意外そうに眉をつり上げる、
「もしかして、毒が入っているとか? 疑ってる?」
何も言えない、言えるはずもなかった。
「そ、そうではないけれど」
「じゃあ、呑めよ。本当によく効くんだ。俺がまだお前くらいの年の頃、よく夜中にうな
されて眼が醒めた時、親父(アボジ)がこれを呑ませてくれたんだ。そんなにきつい薬じゃない」
「―大丈夫か?」
ややあって、躊躇いがちな声がかけられた。
漸く少しだけ落ち着きを取り戻し、梨花は大きな黒い瞳を見開き、少年を見つめた。
「これを呑むと良い。気分が少しは落ち着くから」
差し出されたのは、縁の少し欠けた器だった。茶色の液体が入っている。
梨花は知らず首を振った。
「い―や。呑まない」
少年が意外そうに眉をつり上げる、
「もしかして、毒が入っているとか? 疑ってる?」
何も言えない、言えるはずもなかった。
「そ、そうではないけれど」
「じゃあ、呑めよ。本当によく効くんだ。俺がまだお前くらいの年の頃、よく夜中にうな
されて眼が醒めた時、親父(アボジ)がこれを呑ませてくれたんだ。そんなにきつい薬じゃない」