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第3章 運命の邂逅

　色の白さは端整な容貌を更に際立たせていて、かと言って軟弱なお坊ちゃん然としているわけでもなく、逞しさと優美さが程よく調和しているといった案配であった。
「生憎と私は弱い者を見ると、味方したくなってしまう性分でな、その弱き者が汗水垂らして働いて得た金を横からかすめ取っていくような輩は許せないのだ」
　こんなときなのに、梨花は男のあまりにも整い過ぎた美貌から眼が離せない。もし、この場に兄のソルグクが居合わせれば、あまりの腑抜けぶりに腹を抱えて大笑いされるか、何と言って冷やかされるか知れたものではなかった。
「さあ、とっとと財布を出せ」
　男が顎をしゃくると、掏摸は情けない声を上げて懇願した。
「旦那(ナーリ)、どうか少し力を緩めて下さいよう。これでは、財布を出そうにも出せません」