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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第3章 運命の邂逅
診察を終えた後、医者は後で薬を取りにくるようにと言い、自分の住まいを告げて帰っていった。梨花が幾ら診察料を払おうとしても、往診を頼んだ〝依頼人〟から既に支払い済みだとの一点張りであった。
医者の名が宗(ジヨン)俊秀(ジユンス)と聞いて、梨花は兄と再び顔を見合わせた。
宗俊秀はその名が漢陽にも轟く名医である。若い時分は薬売りを営んでいたというが、天涯孤独であったのを富豪の養子となった。何でも、その面立ちが富豪の若くして亡くなった一人息子に似ていたらしい。俊秀は養父の莫大な財産を受け継ぐと同時に、薬売りをしていた知識を活かし、更に勉強して医者になった。
大抵の医者が金を積まねば動かないのとは裏腹に、俊秀は困っている病人がいれば、真夜中であろうが無報酬であろうが、往診に駆けつけるといわれ、その飾らない人柄と優れた医術で大勢の民から慕われていた。
医者の名が宗(ジヨン)俊秀(ジユンス)と聞いて、梨花は兄と再び顔を見合わせた。
宗俊秀はその名が漢陽にも轟く名医である。若い時分は薬売りを営んでいたというが、天涯孤独であったのを富豪の養子となった。何でも、その面立ちが富豪の若くして亡くなった一人息子に似ていたらしい。俊秀は養父の莫大な財産を受け継ぐと同時に、薬売りをしていた知識を活かし、更に勉強して医者になった。
大抵の医者が金を積まねば動かないのとは裏腹に、俊秀は困っている病人がいれば、真夜中であろうが無報酬であろうが、往診に駆けつけるといわれ、その飾らない人柄と優れた医術で大勢の民から慕われていた。