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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第3章 運命の邂逅
「お兄ちゃん、私のことなんかより、今はお父さんの心配をするときよ」
帰り際、俊秀は二人に告げたのだ。ここ二、三日が山場となるだろう、そして、幸運にも生命を取り止めたとしても、廃人同様―言葉を発することも手足を動かすことすらできなくなるのは間違いないと。
「ああ、判ってる。だが、親父のことも心配だが、俺はお前のことも案じられてならねえ。お前は世の中の醜さも男ってえものの卑怯さも、何も判っちゃいねえんだ。危なかしくって見てられない。良いか、俺のこの言葉だけは忘れるな。
帰り際、俊秀は二人に告げたのだ。ここ二、三日が山場となるだろう、そして、幸運にも生命を取り止めたとしても、廃人同様―言葉を発することも手足を動かすことすらできなくなるのは間違いないと。
「ああ、判ってる。だが、親父のことも心配だが、俺はお前のことも案じられてならねえ。お前は世の中の醜さも男ってえものの卑怯さも、何も判っちゃいねえんだ。危なかしくって見てられない。良いか、俺のこの言葉だけは忘れるな。