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花咲く夜に
第6章 決心
『す、すみません……』
貴斗は恐縮する。
『聞いてる?
あたしたちに血の繋がりが無いことは』
『……はい。聞きました』
『めぐるの両親はね、
めぐるが生まれて直ぐ……5ヶ月くらいだったかしら。
20分夫婦で車を出した間に記載量オーバーの大型トラックのスリップに巻き込まれたの。
真冬だった』
貴斗は神妙な気持ちで聞いていた。
……凄惨な事故現場だったろう。
『交通事故は、
意図的にしたものじゃないから仕方ないわ。
……そう思えるのに時間は掛かったわね。
めぐるが中学生になる前に打ち明けたのよ、
「血の繋がりは無いのよ」って。
そしたらあの子、何て言ったと思う?
「知ってるよ」って笑ったのよ。
親戚から聞いたんじゃなくて「薄々分かってた」って。
遠慮して、大学も行かないって言い出したりね。』
貴斗は幼少期のめぐるを思い浮かべた。
きっと今と変わらない……
大人しくてちょっとズレていて、
本当は全て見抜いてる子だったんだろうな。
『めぐるにはね、
うんと幸せになって欲しいのよ。
せっかくなりかけたのに、無くしちゃったでしょう?』
結婚予定だった相手のことを云っているんだろう。
養母は眉尻を下げて辛そうに笑う。
『結婚してほしいって云ってるんじゃないのよ。
めぐるが望む幸せを掴んで欲しいだけ』
『…………めぐるさんが望む幸せ………』
『そう。幸せの感じ方は人それぞれ違うわ。
めぐるには、めぐるの望む形があると思うから』
重いかしらね、
と笑いながら貴斗を促してめぐるが寝ている病室へと一緒に歩いて行く。
貴斗は恐縮する。
『聞いてる?
あたしたちに血の繋がりが無いことは』
『……はい。聞きました』
『めぐるの両親はね、
めぐるが生まれて直ぐ……5ヶ月くらいだったかしら。
20分夫婦で車を出した間に記載量オーバーの大型トラックのスリップに巻き込まれたの。
真冬だった』
貴斗は神妙な気持ちで聞いていた。
……凄惨な事故現場だったろう。
『交通事故は、
意図的にしたものじゃないから仕方ないわ。
……そう思えるのに時間は掛かったわね。
めぐるが中学生になる前に打ち明けたのよ、
「血の繋がりは無いのよ」って。
そしたらあの子、何て言ったと思う?
「知ってるよ」って笑ったのよ。
親戚から聞いたんじゃなくて「薄々分かってた」って。
遠慮して、大学も行かないって言い出したりね。』
貴斗は幼少期のめぐるを思い浮かべた。
きっと今と変わらない……
大人しくてちょっとズレていて、
本当は全て見抜いてる子だったんだろうな。
『めぐるにはね、
うんと幸せになって欲しいのよ。
せっかくなりかけたのに、無くしちゃったでしょう?』
結婚予定だった相手のことを云っているんだろう。
養母は眉尻を下げて辛そうに笑う。
『結婚してほしいって云ってるんじゃないのよ。
めぐるが望む幸せを掴んで欲しいだけ』
『…………めぐるさんが望む幸せ………』
『そう。幸せの感じ方は人それぞれ違うわ。
めぐるには、めぐるの望む形があると思うから』
重いかしらね、
と笑いながら貴斗を促してめぐるが寝ている病室へと一緒に歩いて行く。