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花咲く夜に
第7章 離脱
めぐるは無事退院した。


葛城家には、
以前と変わらぬ日常が戻ってきた。


めぐるは下腹部の虫垂炎の手術痕が痛むため、
雑用程度に動きを留めている。


貴斗は郵便局を1週間休むことにした。
『家業をしなければならない』と理由を話すと、
祖母と2人という事情を知っていた局長は了承してくれた。


――――今は、
3人暮らしだ――――――




貴斗はめぐるが雄大とやらに送信したメール内容を見てからというもの、
穏やかに愛情が溢れつつあった。(見たことは内緒な、絶対言うなよと拓海に念押しされた)


今まで以上に。


『めぐる〜〜〜
痛くないか?』


座敷間にて休んでいるめぐるへ声をかける。


『大丈夫だよ。
……何か貴斗優しくなってない?』


『前は優しくなかったか(笑)』


『うん。あんまり………』

『えっ』


『嘘だよ(笑)、ずっと優しいけどもっと優しくなった気がしたの』


あんだよ、びっくりさせるなよ〜〜〜……
と貴斗は作業に戻る。



5月。

初夏の日差しはもうキツい。

帽子を被って農機に乗り、畑に向かう。




『あれっ?』
道の向かいから、
優の奥さん――美園さんが歩いてきた。

杏奈ちゃんの手を引いて、ゆっくりと。


『こんちはー、優さん具合どう?』
貴斗はエンジンを停めて挨拶した。

『こんにちは、
もう少しで退院の予定よ。思ったより早く治ってたようなのよ』


『――美園さん、
もしかして……?』


『ああ、分かった?(笑)』
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