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花咲く夜に
第8章 旅立
(あまり、
考えないようにしよう)


そう思って夕飯の席に戻った。



貴斗がスウェットに着替えて降りてくる。


『おお、
何手作り?これ』


『めぐるちゃんと包んだんだよ。皮は市販のだ』


『………崩れてるのが私のデス…………』

大量の餃子。

夕方から昭恵と具を作り、手作業で包んだのだ。




『へー。
美味そう!
あ、ホントだ(笑)ぶっさいくな餃子がある』

貴斗は箸で餃子をつまんで大笑いした。


『………これでも精一杯だったんだから……』
めぐるは昭恵作の機械で作ったように折り目正しい餃子の包みを見て恥ずかしくなり、頬を染めた。



貴斗がつまんでいる餃子は、
箸先から崩れて皿に落ちた。


『いんだよ、
味は変わらないんだし』と昭恵のフォロー。


『まぁな。
うん、美味い〜。キャベツ入ってるね』

貴斗は嬉しそうに〔ぶっさいくな餃子〕を食べた。




そして『ごっそーさん。
俺ちょっと調べものあるから、
今日は早めに寝るわ』
とサッサと部屋に引き上げていく。



めぐるは片付けをしながら『昭恵さん……。
貴斗さん、
元気ですよね………?』
と心配事を吐露した。


昭恵は食器を洗いながら……
『………ショックは大きいだろうねぇ……
あたしも、どうしていいんだか分からんのよ…』
とため息を吐く。


『空元気で乗り切ろうとしてるかんじ……』


『そうなんだよ。
やっぱり分かるかい?
タカは昔からそうなんだ。暴れたり泣けたら良いんだけどねぇ。』


昭恵は皿を拭きながら、
『そういう壁を作ったような性格が美世そっくりなんだ………』
と呟いた。



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