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花咲く夜に
第8章 旅立
『おはようございます』
郵便局に出勤してタイムカードを押す。
早朝に牛の世話、牛舎の掃除をして畑を点検してから隣町の井出郵便局へ向かうという日に慣れてきた。
初出勤してから、
10日経った。
相変わらず貴斗からの連絡はなく、
週末には拓海が手土産を持って現れる。
メッセージの件を話すと「アイツもアホだなー。
直接言えばアキちゃんもめぐるも不安になんないのにさ。
下手くそな男だねぇ」
と笑っていた。
泊まりに来た夜、
拓海は「姉ちゃんを泣かせた罰にこれくらい良いだろ〜〜〜」
と貴斗の部屋で寝泊まりして散らかして帰って行った。
6月半ばになっていた。
梅雨入りをして1週間。
めぐるはスマホで東京の天候ばかり見てしまう。
今年は空梅雨らしく、
あまり降らない。
気温は毎日30°を超えていた。
そのせいかめぐるはよく吐き気をもよおす。
冷たいレモン水やアセロラウォーターを飲むと治まる。
小まめに水分補給を心がけた。
『やだなぁ…
夏バテかな』
仕分けをしながら、
川崎さんと雑談をする。
川崎さんは息子さん夫婦と敷地内別宅で暮らしており……
『孫は可愛いけど、
やんちゃすぎてねぇ。
昨日なんて泥んこで帰って来たわ』
と言う。
孫は男の子らしく、毎日何かしら面白アクシデントがある。
めぐるは川崎さんから聞く話に大笑いしてしまう。