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花咲く夜に
第2章 移転
『……大丈夫?』


『あ。ごめんなさい。
何か光が暖かくて、つい…………』


黒く長い髪を1つに束ね、普段着のまま背筋を伸ばして涙だけ流している。。


拭おうともしないめぐるに、
貴斗は見惚れていた。


(あ、やば……)
車に戻って、
確か置いてたであろうハンドタオルを探して手に取る。
緑色の、安いハンドタオルだ。

ぐい、
とめぐるの白く小さな顔を拭いてやった。

めぐるはハンドタオルを持ち、
止めどなく零れてくる涙の滴を押さえる。


ひっく……としゃくり上げながらも静かに泣いているめぐるに、
『泣きたい時に泣いたほうがいい。
泣けないと本当に辛くなるから』

と貴斗の癖のない声が届く。


めぐるはしばらく涙が流れるままに、
タオルで拭きながら泣いた。

車に戻る。
『……ありがとう、
タオル』


『別に、いいよ』


『匂う………』

『へ?』


『凄く、男くさい匂いがする(笑)
タバコと……香水?みたいな』

笑って言うめぐるに貴斗は安堵した。
『何だそりゃ、
アンタ喧嘩売ってんのか(苦笑)
香水なんて付けないよ俺は』


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