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第1章 その1

――――広い和室。
入り口はドアだが、その先には開き障子戸があった。ススス…と開けて畳座敷にあがると、四足の重量感のあるテーブル。そして座椅子が２つ。

テーブルの上には湯飲みと急須があり、
お茶菓子もある。


普通の温泉旅館の一室と変わらない……
部屋は２つに分かれており、
入り口から見て手前に和室、奥に床の間がある。

既に布団は二組並べて敷かれていた……


さらにその奥―――
障子戸を引くと、屋外に展望できる温泉があった。
4畳ほどの広さだろうか。広くはないが、大きめの岩に囲まれている。
湯気が昇り、
雰囲気が抜群だ。

小早川瑠美は、
正座をして手を付き、丁寧に頭を下げた。
『よろしくお願いしますわね。わたしのことは、田川さまのお好きなように呼んでくださいな』

『コホン。で、ではルミ。呼び捨てでいいかな…』