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君が泣かないためならば
第6章 て
お昼休みを終えて、部に戻った私は
極力啓と目を合わせないように仕事に没頭しているふりをした。

啓はそんな私を気にしているようだったが
仕事を終わらせることに必死で、あまり余裕がないようで。

『今森川君がやっている仕事のN.Y.の窓口は俺なんだ。
彼の仕事に難癖をつけて仕事から外すことも、今の俺には可能だよ』

そう言った重田さんを無視することは出来ない。

啓は、今の仕事で念願のチーム入りをした。
N.Y.合同プロジェクトの、この仕事がしたくて
企画部に配属願いを出したのを私は知ってる。

やっとその可能性が開けるときに
私の個人的な人間関係で、啓のキャリアをつぶすことは出来ない。

大きく吐き出したいため息を
部の人に感づかれないように、そっと吐き出す。

仕事のできる重田さんに惹かれた。
少し強引なぐらいの仕事ぶりに尊敬もした。

けど、その辣腕は今私にマイナス方面で動いて
矛先を啓に向けてる。

そんなのはフェアじゃない。

はっきりと、仕事とプライベートを分けてくれるように
重田さんに言わなきゃ。

啓に知られないように。
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