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第6章 逮捕へ

兄が中学生だった頃、不登校だった兄に頭を悩ませた挙句、母は大人しい向樹に度重なる暴力を与えた。

離婚した矢先の転校先小学校に“父親参観日”なる独自の行事があり、父のいない向樹はその日から「離婚野朗、離婚家族、お父さんがいない」といきなりいじめられるようになる。

母方からの支援は僅かにあったようだが、母親は２人を食べさせなくてはいけないと、毎日残業した。
中学生の兄と小学生の向樹にはカップ焼きそばが入ったダンボール箱が置いてあるだけで、料理が作られることはなかった。

以降、炊かれた米を食べたのは他人の家。

転機が訪れたのは兄が父の元に行き、母方の支援で家が建てられたことだ。
こうして、海老原と同じだった小学校を転校する。
支援の背景には母は好きな人がいたため、父との結婚に大反対だったが、無理矢理嫁に行かされたという「申し訳ない」思いが親類サイドからあったようだ。