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いろごとプリズム
第12章 ラブホで逃避行
「その、高岡は……いろいろあって、もしかしたら俺のことなんかどうでもいいのかもしれないけど……、俺は……。……なぁ高岡、今日これから、ダメ?何も考えないでいいから……、俺も何も考えないから……、身体ぶつけ合って、やなこと忘れてみないか……?」
そういう展開か……、結局、やりたい気持ちが先走るんだな、と、サーヤは心でため息をついた。
「今日これからって……、どこで?」
「ホテルに行かないか……?芹沢に割引券をもらって薦められたとこがあって」
「……また、芹沢くんか」
優奈と芹沢の差し金であることは容易に想像がついた。コンドームの時のように、小暮を煽っているに違いない。そして、訊くんだ。割引券使った?って。
「……本当に何も考えないでいいなら、いいよ」
「マジ!?」
「うん。……その代わり、忘れさせるぐらい……良くしてね?」
「……ああ」
小暮はゴクリと唾を飲み込んだ。サーヤは自暴自棄だ。けれどとにかく今のサーヤを放っておくことは、小暮にはできなかった。


初めて行くラブホは、その中に入るだけで異世界のようで、確かに非日常といった感満載で、いろいろ忘れる為には来てよかったかなとサーヤは思った。
「なんか、すごいね。やっぱり妖しい雰囲気なんだねラブホって」
「そうだな……。内装にも爽やかさがないな。風呂はどうなってるんだ?」
風呂場を覗きに行く小暮にサーヤもついていく。
「ああ、意外と狭いんだな」
「安い部屋にしたからじゃないの」
「そうだよな。……なぁ、シャワー、浴びる?」
「え、どうしようかな」
「時間そんなにないし……、俺、もう……」

脱衣所で小暮が後ろから抱きついてくる。腰に押し付けられたところの硬さから、彼の意向は汲みとれた。後ろから抱き締め、片手で服の上から胸を揉み、片手で太腿を撫でる小暮の様子が、脱衣所の鏡に映っている。
「高岡……、すぐやりたい」
耳元に熱い吐息混じりの性的な声が響く。小暮の手はすぐに服の中へ、下着の中へと入り込み、弄り始めるその光景をサーヤは鏡で見ながら昂ぶっていく。伝わってくる小暮の興奮に煽られるのもあり、サーヤはとにかく今は小暮と欲望をぶつけ合おう、と思った。
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